私は公平です。(キッズ21)
公平ということを小さい子供に教えるのは大切なことですが、とても大変なことでもあります。「半分ずつに分けようね。」「みんなで同じにしよう。」などと説明します。
保育園では1年に1回、お菓子を自分たちだけで分けるという活動をしています。数も内容もばらばらなお菓子の山を用意して、そのグループの子どもたちがみんなよいと思う方法で分けるというのが課題です。お菓子の山を作ったとたんに自分の一番食べたいお菓子を手に取る子、どんどん同じお菓子から分け与え始める子、誰かがやってくれるだろうと見ているだけの子など様々です。こちらとしては話し合いをしてほしいのに、最初から話し合いから入ることはありません。それぞれが思いつきの行動をし、その結果をみたうえで、これではお菓子がわけられないと気づき、やっと話し合いに入ります。
大人目線で考えると、じゃんけんというのが妥当ではないかと思いますが、そうではない方法がたくさんでてきてとても楽しいです。一つずつお菓子を取り出して「これがほしい人!」と呼びかけてもらう人を決める方法、ひとまず好きなものをどんどんとってあとから公平かどうか考える方法、同じお菓子はひとまず分けて数が半端になったお菓子は先生にくれるという方法、中身が見えない大きな袋に全部のお菓子を入れて手探りで1つずつ取る方法など、毎年どんな分け方が編み出されるか楽しみにしています。苦労して公平を考え、何度もやり直しながら分けっこをすればするほど、終わった時の満足感は高いようで、「公平になったかな?」と聞くと「は~い」と満面の笑顔で返事をしてくれます。
子育て相談の中では、自分の複数の子どもたちをどのように公平にするかに悩む親御さんはとても多いです。一人一人の子どもから発せられる親に対する欲求はそれぞれ異なり、どうしても世話の内容や、その子にかける時間に差が出てしまいます。そのような場合はぜひ子どもの目にわかりやすいところで、公平にしてあげていただきたいと思います。ジュースをコップに注ぐときに、お兄ちゃんも弟も同じ量になるように注ぐようにします。お兄ちゃんだから多いとか、あるいはお兄ちゃんだから我慢するといった理論は子供には通用しません。同じ親から生まれた子どもとして同じように大切であることを、目に見えるところで示していくことが大切だと思います。
公平感は心理臨床の現場でもとても大事な倫理です。その一つに相談時間の厳守があります。約束の相談時間を必ず守ること、そのことが心理士とクライアントの関係を良好に保ち、先々の問題解決がスムーズに運ぶように思います。